2021.01.01|放射線治療
腫瘍の放射線治療について
腫瘍の治療には大きく分けて3つの方法があります。
●外科手術(局所治療)
●化学療法(全身的治療・カテーテル等を用いた局所的治療など)
●放射線治療(局所治療)
放射線治療が選択される状況として考えられるのは
●完全な治療を目指す。
●外科手術が難しい場所に腫瘍がある。
●補助的な放射線治療(完全切除が困難な場合や、細胞レベルで腫瘍が残っているか、またはその恐れがある場合)。
●緩和的な放射線治療(生活の質、いわゆるQOLの改善を目指す)
放射線治療器について
オルソボルテージ(500kV以下のもの)
メガボルテージ(1000kV(1MV)以上のもの)
※当院の放射線発生装置はオルソボルテージです。
根治的放射線治療と緩和的放射線治療
●根治的放射線治療
根治を目的とし、1回に少量の放射線量で多分割照射をします。通常は週3~5回の治療で16~21回(合計4~6週間)。
●緩和的放射線治療
高線量を週に1回、3~4週間または中線量を週に5回、1週間などです。
根治的放射線治療が実際に行われるのは
<補助的>
●肥満細胞腫、軟部組織肉腫など
外科的マージンが不十分(切除周囲に細胞レベルで腫瘍の残存またはその恐れがある)
●脳腫瘍(脳幹、脳下垂体、脊髄腫瘍)、切除不可能な腫瘍(鼻腔内腫瘍)
外科手術が困難または不十分な場合
<根治的治療が行われることの多い腫瘍>
肥満細胞腫、軟部組織肉腫、鼻腔内腫瘍、脳腫瘍、肛門嚢腺癌、外科的マージンが不良の腺癌、肉腫など
根治的放射線治療が実際に行われるのは
・QOLの向上や、疼痛の緩和を目指し、場合により生存期間の延長が得られます。
・60~70%のケースで効果が得られるとの報告があります。
<緩和的治療が行われることの多い腫瘍>
骨肉腫、甲状腺腫瘍、鼻腔内腫瘍、猫の口腔内扁平上皮癌、その他腫瘍の大きさや場所により外科手術不可能な場合
放射線治療の副作用
急性型副作用とは
皮膚のフケや湿性の皮膚炎、脱毛、重度な場合は「やけど」の様な症状を呈します。
通常、治療開始後2~3週間ごろから始まり、通常のプロトコールが終了する4~5週間頃がピークとなって、治療が終了して2週間程度で落ち着きます。
遅延型副作用とは
放射線治療後6~12ヵ月以上たってから起きる副作用です。
症状は、永久脱毛や毛色や毛質の変化、筋肉の萎縮、骨の壊死、皮膚の壊死などで、通常の治療プロトコールで重度な副作用が生じるリスクは3%未満とされています。
放射線量の管理
リファレンス線量計により照射線量を管理しています。